バッテリマネジメント講座-5 二次電池の充電方式

代表的な充電方式

二次電池の充電方式について、以下の4つの代表的な方式があります。
上側のグラフには時間経過に対する充電電圧の遷移、下側のグラフには時間経過に対する充電電流の遷移を示しています。

  • トリクル充電

図1 トリクル充電の充電電圧と充電電流の遷移

トリクル充電は微小電流による充電で、自己放電を補うために行われます。そのため、充電電流は1/20~1/30Cと非常に微小です。主に非常用のバックアップ電源をいつでもフル状態で使用できるようにするために用いられる充電方法です。

  • 定電圧充電(CV充電)

図2 定電圧充電の充電電圧と充電電流の遷移

定電圧充電は、グラフのように充電電圧を一定にして充電する方法です。そのため、充電電流は徐々に少なくなっていきます。主に鉛蓄電池の補充電用に使用されることが多いです。

  • 定電流定電圧充電(CC-CV充電)

図3 定電流定電圧充電の充電電圧と充電電流の遷移

定電流定電圧充電は、リチウムイオン電池で最も使用されている充電方法です。充電開始時は一定電流0.5~1.0Cで充電し、充電電圧が最大電圧に到達したところで、充電電圧を一定にする方法です。

  • 二段階定電圧充電

図4 二段階定電圧充電の充電電圧と充電電流の遷移

充電開始時は定電流で充電し、バッテリ電圧を最大電圧にします。ここまでは、定電流定電圧充電と同じです。その後、充電電流が減少したところで充電電圧を切り替える方法です。定電流定電圧充電と比較すると、充電完了時のバッテリ容量はこの二段階定電圧充電のほうが少なくなりますが、電池へのストレスを軽減できることから鉛蓄電池で使用されることがあります。

充電器の動作原理

図5 充電器のブロック図

図5に充電器のブロック図を図示しています。充電器には大きく整流回路、AC/DCコンバータ、力率改善回路、DC/DCコンバータから構成されています。AC電源から入力された電圧を整流回路で全波整流し、力率改善回路で力率を改善します。力率改善した後にDC/DCコンバータからバッテリへ電流を供給します。AC/DCコンバータは補助電源で、力率改善回路やDC/DCコンバータ用の電源を供給します。

力率改善回路とは?

交流電力の電圧と電流の位相差をφとすると、力率はPF=cosφで表されます。つまり、電圧と電流の位相差がない場合は、cos0=1となります。電流の波形が正弦波から逸脱すると、力率は1より小さくなります。つまり、力率改善回路とは、ACラインに流れる電流を正弦波に近づけて力率をほぼ1にする回路です。

図6 力率改善回路のブロック図

図6に力率改善回路のブロック図を図示しています。この回路は、整流回路と平滑コンデンサの間に昇圧回路を入れた回路になります。MOSFET Qをオンすると、インダクタ Lに入力電圧が印加されて、MOSFET Qを経由して整流回路へ電流が流れます。MOSFET Qがオフすると、ダイオード Dがオンして、平滑コンデンサ Cや負荷へ電流が流れます。

図7 全波整流電圧波形とインダクタの電流波形

図7に全波整流された電圧波形とインダクタ Lに流れる電流波形を図示しています。インダクタ Lに流れる電流は、図のように全波整流した脈波電圧波形に似た電流波形を生成することができます。つまり、MOSFET Qがオンしたときにはインダクタ Lに電流が流れ始め、MOSFET Qがオフするとインダクタ Lから流れ出る電流は少なくなります。このインダクタ Lに流れる電流によって、CCM電流連続モード、DCM電流不連続モード、BCM電流臨海モードがあり、図7の波形は電流臨海モードになります。つまり、図6において、電流検出抵抗 Rでインダクタ電流を検知して、インダクタ Lからの出力電流が無くなった時点でMOSFET Qをオンすることで、このような三角波のような電流波形を生成できます。

【参考文献】トランジスタ技術 エコ時代の最新バッテリ活用技術 CQ出版社(2010年2月)
      パワーMOSFET 活用の基礎と実際 稲葉保 CQ出版社(2004年)