ノイズ対策講座④ ノイズ対策部品と用途②

今回の講座では前回のノイズ対策部品の中で、バリスタとサプレッサダイオードについて説明します。

バリスタとは

図1 バリスタの等価回路(※1)

図1にバリスタの等価回路を図示しています。バリスタは、コンデンサとツェナーダイオードの特性を持っています。バリスタは、シリコンカーバイドや酸化亜鉛、酸化ケイ素などの電圧が高くなると抵抗値が減少する材料を電極で挟んだ部品です。端子間に定格電圧以上の電圧が印加されると、端子間の抵抗値は数Ωから数十Ωに低下します。これが、ツェナーダイオードと同様の特性です。端子間の電圧が定格以下の場合は、端子間の抵抗が2MΩ以上の高い値となり、端子間容量は数十~数千pFとなります。これが、コンデンサと同様の特性です。
そのため、バリスタは高速な信号ラインに使用することはできません。バリスタのポイントとしては、長時間過電流が流れ続けるとショートモードで故障する懸念があるため、ヒューズと一緒に使用することをお勧めします。

サプレッサダイオードとは

図2 サプレッサダイオードの記号(左)と電圧-電流特性(右側)

サプレッサダイオードは、半導体のPN接合のアバランシェブレークダウン動作を利用したダイオードです。そのため、アバランシェブレークダウンダイオードと呼ぶことがあります。図2にサプレッサダイオードの記号と電圧-電流特性を図示しています。サプレッサダイオードの記号は、2個のツェナーダイオードが向かい合った形になっています。
サプレッサダイオードの電圧-電流特性は、プラス側とマイナス側でブレークダウン電圧を超えると電流が流れ始めます。バリスタの場合、定格電圧を超えると電流が流れ始めますが、印加電圧によって電流量が決まってきます。サプレッサダイオードの場合、ブレークダウン電圧を超えるとすぐに大きな電流を流すことができます。そのため、バリスタと比較するとサプレッサダイオードは応答性が良いです。
バリスタとサプレッサダイオードは、サージ電圧を抑制する保護部品で電圧制限型という種類に分類されます。バリスタは高い電流容量を備えていますが、定格電圧が高いという特徴があります。サプレッサダイオードはスイッチングが高速でブレークダウン電圧を低くできますが、電力定格が制限されます。

【参考文献】(※1)トランジスタ技術 聖域なきノイズ対策 185ページ CQ 出版社(2001年10月)